心理学の始まり(ヴント)
心理学の発端
現代心理学の始まりは1879年にライプチヒ大学に世界初の心理学実験室をヴントが開設したことに端を発しています。
彼の立場の心理学を要素主義心理学という。意識(直接経験、感覚、感情)を研究対象としそれを内観をもって観察し記述することを通じて研究を行いました。ヴントは要素主義を取り入れており、要素主義心理学の目的は、訓練された観察者を用い、意識内を内観し、意識の構成要素を見出し、複雑な意識過程を要素分解すること、それらの要素の結合を証明すること、そのような結合の法則を研究することを証明することでありました。全体的な意識経験としてまとめる心理作用のことを統覚といい、そしてその際に意識の構成要素は純水感情と呼ばれます。
新たな理論が生まれる!
しかし内観は直接観察できず、また内観は、主観的観察であるため、客観性、再現性を求める科学とは相いれないものとして批判されることとなります。1913年アメリカのワトソンが論文で行動主義の立場を提唱しました。行動主義は現代の心理学の基礎となっており、基本的な考え方は100年が経っても変わっていません。
またドイツでは、意識の構成要素は分解できないものであり、意識は全体の総和により成り立っているというゲシュタルト心理学という心理学が発展していきます。日本でも枢軸国という歴史的な背景からアメリカ発祥の行動心理学は研究しにくく、ゲシュタルト心理学が研究の流行となっていきます。
全体の総和により成り立つという考え方は例えば知覚の分野、人と人が集まった時に起こる何かについて、役に立ちます。
例えば、知覚で言えば錯覚の分野です。簡単な日常の例で挙げると動画です。動画は複数の動きの違う写真を何枚もつなげていくことであたかも動画のように動いているように脳の機能が保管してみています。その動画自体を構成分解してしまうとただの一枚の絵であり、何が原因で動画に見えるのかがわからなくなってしまうのです。このことを仮現運動といいます。これは全体の総和により成立するという考え方なしには研究成果とならなかったかもしれません。ゲシュタルト心理学は後に、社会心理学や認知心理学に影響を与えた重要な理論でした。
ヴントの功績
ただこの要素主義心理学については、心理学を哲学という分野から切り離して、科学としてとらえようとした点に一番の意義があると言えるといえます。